地球の歴史の中では何回かN極とS極が入れ変っている。奇体なことであるけれど、最近ではチバニアンなどの露岩も明らかになり周知の事実と化している。
 長い間の地球(地層)の変遷、ひっくり返るという事態も含めてマグリットは画面に集約し、この画に至ったのだと思う。
 太古からの、人智で手繰り得られないほどの長い時間を測る。

 人はどこから来て、どこへ行くのか。
 存在とは何なのか。
 生きることを問う事は、死を問う事であり、引いては過去を遡ることである。
『田園』、地層に眠る秘密、酸素をもたらした木々(緑の光合成)への敬意、傾倒。

 秘密裏に代々連鎖し、今日につないだ大地(田園)への敬服。
 しかし、細枝のような木の切り抜きは過去に遡ることを遮断している。ここより先(背後)は進入禁止の領域であると。
 マグリットの大地への讃歌は胸底深くに沈められた郷愁にある。

 写真は『マグリット』展・図録より