絵というものは決定であって、動くような変化はない。しかし、兆しというものは有るかもしれない。
 よく見るとフレームは床に着地もしていないし壁に張り付いてもいない。浮遊状態であるから、いずれ落下するに違いない。
 枕は床線を隠しているので分かり難いが、明らかに斜面の上であるから次第にずれていく可能性を孕んでいるにもかかわらず、その大きさと安定感からむしろ枕の側に重みを感じ床の傾きを相殺している印象がある。
 ゼブラ模様の面は右の壁の影から推して壁の背後にあるにもかかわらず、模様の鮮明さから壁より手前にあるように感じる。

 フレームの二つの画面も不穏であり、平面というより奥深い闇、果てしない宙宇として抜け感がある。
 それぞれが微妙に主張し、動く気配を潜ませている。決して動かない平面の作画があたかも変化を内包している兆しを感じる不思議な企画である。


 写真は『マグリット』展・図録より