『やまなし』という作品は牧歌的で滔々とした時間が流れているように感じる。それは地球と宇宙との交感の時空があるからです。

 クランボンはCrab(蟹)、かに座の暗示です。クランボンが笑ったり跳ねたり…死んだりするのはかに座が南中し、地平線に沈むサイクルを言っているのです。だから「なぜ殺された。」と問われても「わからない」と答えるしかありません。
 お魚はうお座、「お魚はこはい所へ行つた」というのも地平線に沈んだということです。
 二疋の蟹はふたご座のカストルとポルックスかも知れません。かに座はちょうどその真ん中にありますから。

《そして黒い円い大きいものが、天井から落ちてずうつとしづんで又上へのぼって行きました。キラキラッと黄金のぶちがひかりました。》
 これは《蟹座金環日食》です。

 こんな風に、黄道を巡る星を物語に仕立てて描いた『やまなし』。
 山は、サンと読んで、Sun/太陽を暗示します。日食で太陽が隠れたことを『やまなし』とユーモアを以て呼んだのだと思います。

 五月と十二月に分けたのは、かに座が夜空に見える季節と、見えない昼の星になる(日食の陰に隠れる)ということです。賢治は本当に楽しく大きな物語づくりの名手だと思います。賛、賛、絶賛!!