『巨人の時代』

 女が男の暴力行為に抵抗、満身の力で拒否している。女は裸身、男は着衣である。
 女のシルエットをなぞるように男の姿はカットされている。この欠如、ここにこの絵の秘密があるのではないか。

 二人の場面に床面は描かれていない。女は踏ん張って立っているように見えるが、膝下には力が入っていない。
 男の肘は女の太腿の辺りにある。男は膝をついているか、女を抱き上げようとしているのかは不明である。

 女の男に対する拒否感が前面に出ているが、男に襲うような迫力はなく冷静にさえ見える。女が満身の力で男を引き寄せているとさえ見えるのである。

 両者は対等な力関係にあるのではないか、女の強力、男の腕力が等しい関係にある、そういう時代こそ『巨人の時代』なのかもしれない。
 

 写真は『マグリット』展・図録より