
人型に切り抜かれた紙状のもの、なぜ人だと認識してしまうのか。床面に垂直に立脚できる生物は人間以外にいないからである。ギリギリ人だと認識できるものの複数の影はかなり低い位置からの投影であり、至近であるようにも見える。不確定なエリア(冥府)には生活感は皆無であり、肉体もそぎ落とされている。
人為的に刻まれた空洞、これは過去の事由であり、解読不明の履歴ではないか。意味を霧消することですべての魂が平等になるという(デュシャンの)計らいかもしれない。
どんなに意味や肉体を削ぎ落されても、残る魂が現世からの死者を出迎える。最大の敬意と装いを以て嵐の困難を乗り越え、こちら(冥府)へ向かう死者を待っている。そういう景に思えてならない。
写真は『マグリット』展・図録より