
『嵐の装い』
嵐である、こんな嵐の日には必ずやこちら(冥府)へやって来る客人がいらっしゃるはず・・・。
だから、ここ(冥府)では、最大の装いを以て出迎えるのだという、ブラックユーモア。
『喜劇の精神』に酷似した切り取られた紙の人型が嵐の海に向いている、背を向け(来ないで)と祈っているやも知れない。肉体を昇華した精神のみの亡霊、あちら(冥府)の人たちである。
現世と来世を隔てる境界は荒れる海、死者はあんなにも激しく困難な海を渡らねば、あちら(冥府)には辿り着けないのだろうか。それを知るあちらでは美しく飾ることで迎える心構えをしている。
切ない物語である。決して戻れない不可逆。現世での誕生を祝うがごとく来世では最大の装いを以て迎えるに違いない。(そうであってほしい!)デュシャンの願いである。
写真は『マグリット』展・図録より