泉の底に一本の匙夏了る

 泉はセンと読んで、旋。
 底はテイと読んで、体(態)。
 一本はイツ・ホンと読んで、逸、翻。
 匙はシと読んで、詩。
 夏はカと読んで、歌。
 了るはリョウと読んで、両。
☆遷(移りかわる)体(ありさま)。
 逸(隠して)翻(形を変えてうつす)。
 詩歌は両(二つ)ある。

 この句の凄さは、この句に留まらないような深さと広がりがあることである。たとえば失恋。諦めた恋、匙を投げた無念、昨日の自分とはきっぱり決別するという決意、女の執念が泉の底には静かに微動だもせず昏っているという・・・。

 泉の底はセン・テイと読んで、尖、抵。
 一本はイツ・ホンと読んで、逸、反。
 匙はシと読んで、刺。
 夏了るはカ・リョウと読んで、科、諒。
☆尖(とがって)抵(逆らうこと)を逸(気楽)に反(繰り返す)。
 刺(さすように相手の弱点をつく)科(つみ・とが)を諒(はっきりと覚った)。