オーステルリッツの戦いは歴史に記録されるべき大戦である。
 しかしデュシャンは『喧嘩』だと言っている。そして提示したのは、ミニチュア(62.8×28.7×6.3㎝)の窓であり、人の手で抑え込むことが可能なほどの大きさである。
 上も左右も隙だらけどこからでも侵入できる・・・つまり、これは解放であり、自由ではないか。空の上から見た地球に国境がないのと同じである。

 その後、レノンが歌ったImagineと同じ考えなのではないか。反戦の旗手として名乗りを上げたわけではないが、強い反戦の意志が隠れている。
♪殺したり死んだりするものは何もない~♪と歌ったレノンに等しい。

 小さな作品提示で大きな声明を隠している。
 誰もが知ってる「オーステルリッツの大戦」など誰もが乗り越えられる喧嘩にすぎない。
 一見閉鎖的に見える頑丈な窓の造り、空からも東西南北どこからも開かれた自由な世界の、しかし忘れてはならない胸に刻んだ小さな墓碑かもしれない。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより