『オーステルリッツの喧嘩』
 ミニチュアの窓:木とガラスに油彩

 タイトルと提示物の因果関係が不明確である。オーステルリッツの戦い(三帝会議)は近代的大戦の最初である。大戦をミニチュアの窓に置換する意図は何か、しかも何万人もの死者が出た悲惨な戦争を喧嘩と称している。

 膨大な数の死傷者、大量の血が流れた戦いを喧嘩のレベルにまで収縮させる真意は?愚かしさと言えば、それまでである。

 一見煉瓦造りに見えるものは、薄いレンガ模様を張ったに過ぎないものではないか、一見開くように作られた窓は開かないのではないか・・・。ガラス窓にはガラスがありますという証がペンキで記されている。
 窓はしっかり閉じられているが、存外手薄で華奢な防備である。

 大勝利を収めた大戦、後にナポレオンはトラファルガーの海戦で大敗している。
『オーステルリッツの喧嘩』は、デュシャンの失笑ではないか。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより