「あの人、もうあなたを好きでなくなったらしいのね」
 ペーピは、コーヒーとケーキを運んできながら、そうたずねた。けれども、その訊きかたは、もとのような意地悪いものではなく、いかにもしんみりと悲しげで、自分はその後世間の意地悪さを知ったが、それにくらべたら、自分の意地悪さなんかものの数ではなく、まるで無意味であると言わんばかりであった。


☆「あなたをよく思っていないらしいわ」と、旅行鞄と骨とを運びながらペーピがたずねた。しかし、それは悪意ではなく悲しみに対処するものだった。かれこれする間に世間の悪意を知ったけれどそれに対して自分の悪意など馬鹿げているくらいである。