(ネジ留めされ真鍮板で挟まれた紐の玉)である。
 硬く動きを止められ、しっかり包囲された禁錮・束縛の態。身動きできない見えない何か・・・音、声。音には具体的な意味がないが、声は音である。音に具体性を与えるのは人の意思や想像力である。

〈秘められたる音〉であると、意思を以て告げている。この中には秘めた思いがあるかもしれない。無いことを含めての存在。
 真鍮板で挟まれた紐の玉、抑圧を緩和するかの紐の玉の媒体。

《デュシャンの真意》叫び、あるいは呟き、そして主張は、決して外部から覗き見られたり漏れ聞こえるものではない。
『秘められたる音』は、デュシャン自身である。「わたしが見えるか?」という問いである。


 写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク) www.taschen.comより