
『罠』
木製コート掛け(レディ・メイド)が床に固定されている。
コート掛けはその性質上、少なくともコートが床につかない程度以上の高さが必要であり、床面に平行に設置されるべきものであることは、誰もが知る、いわば常識である。
常識というより、《ねばならない)条件でもある。
それを床に放置、ではなく固定する。誰も固定までしてあるとは思わない、なぜなら《ここにあるべきものではない》からである。手で持ち上げようとする、あるいは足で動かそうとするかもしれない。
しかし、意に反して動かないことを知る。ストレス、憤り、反感・・・。
規則違反、法に違反しているわけではないが愉快ではない。
罠とは人心を惑わし騙すことである。確かにこの作品の前で(素直)にはなれない。違うことへの錯乱はマイナスの感情を惹き起こす。
学習されたデータの順列は正しくあらねばならない。乱すことは『罠』であるに違いない。
写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク) www.taschen.com