『停止原基の綱目』

(図版が小さいので作品を感受するのに多少無理があるが、一応大きさを想定して見ている。)
 綱目らしき線条の分岐は何を指しているのだろう。その下の画はデュシャンの過去の作品と思われる。上に被せるということは過去の作品を否定している、つまり停止原基の綱目は《革新》を意味している。

 この項目(線条)には起点があり、分岐した線の途中には1から9までの9つの数字が打たれている。
 0と10はない。(0と10は叡智における発見である)

 線状の行方(図)に意味はあるだろうか。線・点・数字は任意、偶然を決めているのであって、具体性を持たない。原初・元始・・・発生の基点ではないだろうか。
 存在における偶発、時間を遡っている。ということは、デュシャンの過去の画は手前の停止原基の綱目よりも新しくその向こうに関しては不明な未来かもしれない。否定は打ち消され、むしろ進歩発展である。

 要するに《革新》は、原初にある。
 あらかじめ、『停止原基の綱目』の偶発性は用意されたものであり、わたし達はその周囲を徘徊していると言っても過言でないのかもしれない。

 しかし、停止原基は最初であり最後、普遍の原理である。
 宇宙の闇への手探り《わたし達はどこから来てどこへいくのだろう》という大前提のもとにこの綱目の線が引かれている。


 写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com