
平面上(二次元/偽空間)において《時空は成立し得るか》を提案している。
偽空間における《時間》、つまり動くことである。物体が動けば位置エネルギーが生じ、その場合の目的は生産などの意味を生じさせるが、必ずしもそうはならず、負のエネルギーに転化することがある。
表裏一体に保存されるエネルギーを考え、時間の本質を暗示、潜ませている。
つまり、《無に帰する》ということを念頭に『チョコレート粉砕器』を描いている。描かれたものはチョコレート粉砕器に近似しているが、決して再現できず空想の産物であり、あたかもそのようであるように、虚実の接点を描いている。
作品は絵画作品特有の要素をそぎ落とし、視覚での感動を捨てている。聴覚からくるリズム感はなく、経験からくる(崩壊・落下の)危機感を沈み込ませている。
彩色は、黒を含むアースカラーであり、大地に立ち一人風に吹かれている雰囲気を感じる。
反絵画としての策謀。惜別の湿りはなく、ごく平静な離脱である。
デュシャンの高潔さには孤独の翳りがある。
写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com