数多(152個)の角砂糖型の大理石が、サイコロと違うのは数字(差異)がないことでどこに転がしても同じ面が出ることである。球体でもよかったかもしれないが、積み重ねられる光景にはならない。ランダムに見えながらも上部に重ねられていく形であり、一種の社会形成に似るかもしれない。小さな鳥かごの中の社会にも生(体温計)と死(イカの甲)が密着している。

 全体、何かの役に立つ、有用とは認めがたいものである。卑下、謙遜だろうか。
 虚しさに満ちている。
 しかし、破壊しがたい硬度をもつ大理石、空、風、水、火にも強く、地にも混ざることはない石であることは要である。

 小さな鳥かご(狭い社会)数多の角砂糖型大理石(実は少数派)であるという自嘲に、大理石であるという自尊心をこめ、わたくし(DUCHAMP)を表示したのではないか。
「何故くしゃみをしない?」は禁忌の胸の内である。


 写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com