彼のずっとうしろのほうから、こんどはお内儀まで姿をあらわした。彼女も、腕をひろげて走っていたが、その歩幅は、小さく、上品ぶっていた。彼女は間に合わないだろう、そのあいだに亭主のほうが必要なことをすべて片づけてしまっているだろう、とKは考えた。そして、走ってくる亭主に道をあけてやるために、壁にぴったりとからだをくっつけた。


☆先祖の権力の後ろには、なお無力の存在があった。彼女も力(正義)を大きく広げ掴んでいたが、方法は短縮されていた。無力では間に合わず、そのあいだに、死はすでに不可欠に行われていたからである。自分自身の方向(計画)を実行するために、Kは緊密な絆を置いた。