この作品の主眼は何だろう。
 年輪の数多ある大木(自然)を角柱に伐ってある(人為)。その狭間に埋められた大量の同質同型のものは《時間》かもしれない。
 自然ー人工・時間ー空間の混同・混迷・混沌・・・。

 これを『水没』と題している。
 明らかに沈み込まないものを水没と称している。水没させるには相当なエネルギーがいるに違いないが、その途端、意に反して浮上してくることは必至である。自然に委ねるとしたら炭素(C)が変質する何百何万の年月を待たねばならない。

 矛盾・・・ここにあるものは整然とした態を為しながら、その主題に明らかに抵抗・反している。二律背反・・・。

 この作品にみる提示物と題名の関係は《不条理》である。静かなる沈黙の提示は思考を大きく振動させる、見えないが大いなる精神の揺らぎがある。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館