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 解りやすいドローイングであるが、深く怖い不安の極致、存在の底を揺るがすような振動がある。
 つまり、二人は至近にある底知れぬ穴を見ている。眼差しは底の底までは届かないはずであるがゆえに恐れを抱いているのではないか。確実だと思っている大地の断片は、実は不安定かもしれない。

 何かの力が加われば大きく揺れる構造の上に存在している。考察は役に立たず、不安や恐怖を煽るばかりであるに違いない。

《存在とは何か》
 精神では克服できない物理的な危難の傍らに生きているのではないか、という疑心暗鬼、この深い穴の存在がそれである。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館