世界は全体開放されている。しかし、自分はこの道を行くだろう、むしろ(ねばならない)と言うべきかもしれない。双璧は世界を遮断している、逃げ道も用意されておらず前方も定かではない。

 この道を進むとき、この道を進む景を水平線(絶対的な条理)を望む位置から監視する他者の眼差しがある。それは自身の眼差しかも知れないが、空間は重層している。地下でさえも変革を見せ幾重にも時代を経過している。しかし、ここは終点(目的)ではなくあくまで時間の途中、切れ目(SLIT)である。

 平面と見えたものが坂(傾斜地)になるような視覚の振動である。この未来予測の不能な空間を所有している、確かにわたしたちはここに存在している故にこの不可思議な振動に錯視を覚えるのである。
 現実と幻視の二重機関、その間を風が吹いている。未来圏からの風かもしれない。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館