1-5-8振動尺試作Ⅱ

 振動というのは空気を媒体として現れる現象である、ゆえに視覚化はあり得ない。
 ただその性質として繰り返されるので、波線及びその長さが測定可能になるだけである。だから収束も無限とも無縁である。

 手に取り得ない、触覚に拠らないものを物質に置換する。これはある意味自由であると同時に、振動を熟考するということは、(有るが見えないもの)に対する挑戦でもある。
 質感の伴わないものを質的変換する・・・空論との断定を阻む作業は、哲学の範疇ではないか。哲学もまた精神論であれば、質量を問わない。

 この難題を視覚化する、であれば、条件を踏まえたうえであらゆる想定が可能になる。円でも四角でも鋭角鈍角・・・ただ振動には揺れの振幅は外せないので、長さは基本条件となる。その長さは連続する現象であれば、時間が測れるということでもある。

 この振動尺試作Ⅱは連続を凝縮し、人工的に留め具で抑えられている。一つの時代の断片の提示の模型だと解釈したい。

 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館