
振動尺試作Ⅰ-5-1~1-5-7
振動は見えない。確かに空間を揺らすものであるが、その形を手にとって確認することなど不可能だと、少なくともわたしは思っている。
振動には長さや振幅があるが、その重量や形には思い至らない。
しかし、振動尺と言い、その振幅の長さを限定し試作している。推定を想念で限定し、物に置換する仕事は想定外である。
誰も見たことのない風を固体化して提示するようなものである。
振動には各種ある、というか、眼に見えていない部分、視覚化できるものを囲む大小の揺れは総て振動であり、脈々と持続し続けている。
宇宙然り、地球の潮汐・気候現象、人体(脳や心拍)、化学、電気、熱振動・・・社会の景気動向(景気循環)に至るまで《振動》と呼ばれるものは見えるもの(存在)以外の領域を占拠している。
ゆえにこれが振動尺試作だと断言されれば、肯くしかない。(誰も目にしたことはないのだから)
これら試作は、振動の宣言であり、前提条件の提示ではないか。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館