
1-3-2『日の出、日没Ⅳ』
空に向かう樹木と地の盛り上がりである山々、大地・・・川もしくは海岸線(海)もあり、地下水脈のような景も含んでいる。
要するに自然の景色の抽象化である。
日の出、日没・・・同時に起きる現象ではないから《景の見える時間帯》を凝縮したというメッセージだろうか。
見えることによってのみ存在するかの景色。
厳然と在るものが漆黒の闇の中では失われてしまう。見えている(視覚)によって存在(景色)は明らかになる。
質感質量は触覚に頼らねば見えてこないが、全体は常に風による響き(振動)が教えてくれる。この空気感は視覚によってしばしば奪われ、その感触は微風においては伝わらない。
日の出、日没の風の方向、差異は景色の変貌と共に形を超えた空気感を明確にする。確かに形態(風景)を被う振動は風景そのものを静観させる。
客観ではなく主観的見地の感触・感慨である。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館