
空を見上げた時、ここまで硬質な感覚を抱くことはまず無い。
どこまでも透過する空の空気(大気)は無と言っても過言ではない。
《有るが無いのである》しかし作家は《無いが有る》と言っている。
当然、地上に落下すべきグラマンTBFが空中を突き進んでいる。重力をものともしないで空を飛んでいる景である。(急降下可能の主力電撃機・愛称のアヴェンジャーは報復者の意)
空からの圧を抑えつけるような鋲が並んでいる。
グラマンTBFを囲むような鉄板はグラマンTBFへの負荷(重力/圧力)に等しいのではないか。
規則的に並んだ凸(出っ張り)はグラマンTBFに対峙する等量の抵抗に思える。
敵機襲来の恐怖、見上げた空の変容・・・若林少年の消えない記憶かもしれない。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館