『1-2-5』10×口Ⅳ

 10×口って何だろう。
 作品は口から吐き出された息、あるいは口へと吸いこむ周りの空気だろうか。
 口(呼吸器官)には常に空気の振動があり、生命の基本、必須の働きとしての揺れがある。

 10という数字は何を示唆しているのだろう。
 10は「終わり、限り」を意味するが、単に「多いこと」だろうか。

《10×口》数えきれない、膨大な量(数)ということかもしれない。
 人は生まれながらにその生涯において、星の数砂の数ほどの呼吸(振動)を余儀なくされている。

 地球上の億という人々が各々空気を振動させている、振動は秘かにも至る所で発生しており、それが生きて在ることの証明でもある。


 写真は『若林奮 振動と飛葉』展・図録より 神奈川県立近代美術館