廊下そのものには、まだだれの姿も見えなかったが、各部屋のドアは、すでに、動きはじめていて、何度もすこしあけられたかとおもうと、すぐまたいそいでしめられるのだった。こうしてドアを開閉する音が、廊下じゅうかまびすしかった。天井にまで達していない壁の切れ目のところに、ときどき寝起きらしく髪のみだれた顔があらわれてはすぐ消えるのが見えた。


☆方法はなるほど空虚な小舟だったが、企てはすでに動いており、再び開閉装置は素早く閉じたり開いたりしていた。天井まで達する壁の裂け目では、モルグ(身元不明者の死体公示所)で頭をかきむしる一人が現れてはすぐに消えて行くのをKは見た。