『プロフィールの自画像』
 黒色の紙の上に色紙を添付

 身分証明として携帯できるような大きさである。
 黒色を認識すると横顔であるが、色紙の方を見ると何かの切れ端のようにしか見えない。つまり、既知のデーターにない形である。
 色紙は黒色の紙の上に乗っているに過ぎない。ゆえに黒色の紙は本来意味のないベタであると同時に、添付された色紙の形も意味を見いだせず、二枚の紙が別々に置かれたならば意味の浮上は出現しない。

 もちろん意図された構成ではある。
 しかし、何かの推測さえも拒否するような二枚であり、いわば偶然の重なりが意味を生んだとも言える。

 横顔は《有るが無い》、そして《無いが有る》

 見えることと見えないことの偶然性。存在すらもその領域を浮遊しており、確認は幻視ですらあるかもしれないが、わたし達は見ることを確信している。(その確信さえも…)


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク(www.taschen.com)より