この留め具の安直さ、留めるためというより開けやすさのためのようである。
 しっかりした造りに比して貧弱な留め具は、いつでも開閉自由であることをしめしている。

 この停止原基に厳守すべき絶対性はなく、開放自由、さらに言えば誰もが何時でも差し替えられるものである。

 相当な技術、まるで宮大工の仕事のような年代物の収納箱。厳密に測って設えられた収納箱に収められた偶然を基調にした停止原基なる3本。

《必然の中に収納された偶然》

 規約、戒律、法律・・・あらゆる掟、規則。この社会、日常の中でのきっちり自分を守るための束縛のない自由、自分の中の一線。この選択の自由、この提示が『3つの停止原基』である。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク(www.taschenより)