
『レディ・メイドの花束』
男の背後に描かれた任意の女人像(ここでは花の女神フローラ)、男は林(森)を見ている。林と男との間には仕切りとなる石造りのブロックがある。
任意の女人に背を向け、彼にとっては手前の林を見ている。林へは仕切りのブロックがあるが超えられない高さではない。(しかし超えたら二度と戻れない世界の遮蔽ではないか)
男は後ろ向きである、すでに在る美しい女性に背を向けている(関心がない)。男は誰にもその秘密を知られることのない世界の方を向いている。深淵…心の闇、見ることも触れることもできない存在の彼方。女はその深淵を隠している、庇護していると言い換えてもいいかもしれない。
マグリットが決して明かすことをしない、そして他人が立ち入ることを断じて許さない領域への眺望である。
『レディ・メイドの花束』、あなたに心よりの花束を贈りたい!この切なる願い、平凡だけれど、ありきたりだけれど・・・。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)