
卵の殻を見て、反射的に中身を想起するのは、潜在意識の作用である。
そして、服を見て(どんな人が着るのだろう)という感想を抱くことがある。
服は肉体を包む物であり、従って人体に即した形態を形成している。
着衣の石化はどのような意味をもつのだろう。
服(布地/有機)が、石(無機)に変移するプロセスは辿れない。しかし、敢えて服(有機)を石化(無機)に置換するということは、《膨大な時間の変移》を示唆してるのではないか。時間の観念を超越した時空・・・想像上の未来である。
石化・・・時間を超えて尚残存するもののイメージは他にない。(もちろんこの結晶構造も化学変化を余儀なくされるが)
石化は架空の時間越えであり、超未来時空への飛翔(転移)である。
朱赤のベタ・・・時間を特定しないが、烈しい情感、炎上の気炎であり、高揚の精神を表している。すなわち生命活動の息吹であり、燃え立つ血の暗示である。
時空を隔てた未来人は過去の手がかりを究明する。
《この物は、わたしたちの祖先の着衣ではないか》してみると祖先はこのような形をしていたに違いない。
『媚薬』この服のなかの肉体こそ連綿と続いてきたDNAの正体であり、恋しくも愛しい秘密が隠されている。
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)