
『媚薬』
媚薬…色情、情欲をそそる薬である。服(上着)の石化したものが台座の上に観覧の的のような形で置かれている。背景は朱赤のベタであり情炎・豊艶…燃え立つ思いを示唆する彩色である。
石化の服、服(炭素を含む有機物/燃えて消失するもの)が石化(非燃焼物/無機物)する理がない、不条理のイメージ化である。
絶対に有り得ない現象であるが、億万年の後の奇跡としての想定であり、永久と思われるような時空での発見、もしも・・・の話である。
未来人は考える、この物の中には人類というかつての生物がいたのではないかと。
人類…懐かしくも肉沸き立つような感情を惹き起こすこの物は一体何なんだろう。
絶滅を余儀なくされたと聞いている人類というわたし達の祖先ではないか。Sexにより連綿と継続してきた人類の遺物にちがいない。
空の星、地上の砂を幾たびも数え直したような膨大な年月の果てに着衣(上着)は再び叡智をもった生物によって解き明かされようとする謎の媚薬になるに違いない。
『媚薬』があるかぎり、生命は不滅かもしれない。
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)