
この額は微妙に傾いている。熟視しないと判別できないほどの歪みである。
いかにも整列されたように見える馬の鈴(口承、伝説、命令、意見など)にもわずかなズレが生じている。それを隠蔽(曖昧)する雲の散在、額縁の中の景色にみえる統制と反乱の潜在・・・。
額縁の中は一国の象徴、それ(額縁)を支える背後あるいは周囲の石は大衆であり配下ではないか。
明るさは富や権力を、暗さは窮乏や不平を暗示しているのかもしれない。この大きな差…『大潮』と呼ぶべくして名付けたのだと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)