風景の中にあるたった一つの街灯、普通は距離を置いて連続してあるものだがここでは一つしかなく、周囲の建屋の明るさに比べれば、確かに明るいという程度の明るさである。
 たった一つ、しかしより高いというのでもなく、ごく普通である。
 これは普通の同じ人間である皇帝の比喩ではないか。

 よく見れば同じ人間に過ぎない皇帝が、この国を支配している。精いっぱい頑張っても自然の明るさに比してこの程度の照度である。
 自然の青空は何の力を加えることなく明るい。
 しかし皇帝の持つ権力が照らす明るさは・・・。

 本当の景色、ありのままの風景が見えなくなる。それが支配下の束縛による重圧ではないだろうか。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)