『炎の帰還』

 炎は気体であればその大きさを限定できず、それはまた情熱・激情・怒り・闘志の象徴でもある。
 街を足下に見る仮面の紳士は、肘をつきもう一方の手には薔薇を持っている。
 闘う姿勢ではないが、赤い空気(不穏・情熱)に包まれている。

 街に現出した強大な男、しかし非暴力的であり優美を象徴する薔薇を持っている。
『炎の帰還』とある。
 河の流れる街(エッフェル塔やセーヌ川)を活気づける使いかもしれない。薔薇の持つ意味・・・Under the rose (秘密に)この薔薇は愛の象徴というより、秘かな(隠密の)エネルギーの到来である。

 燃えるような活気を取り戻すための熱望(願望)の化身ではないか、夢を再びと。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)