『人間嫌いたち』

 カーテンの擬人化、カーテンは内(わたくし)と外(世界/社会)を区切るものであり、遮蔽すると同時に開放されるものである。

 タッセルで括られたカーテンからは、多少外を覗き見ることができる。世界に関心はあるが、自分を表に出すことには躊躇がある。
 隠れて見えない存在でありたい。
「わたしが見えるのか?」とカフカはつぶやく。
 衆目に曝されることは避けたい、人との接触、他人に観察され関心を持たれることを極力遠ざけたい。つまり『人間嫌い』である。

 硬質に見えるが、カーテンにすぎない。ひとたびの風にも揺れ、強風なら更なる脅威がある。
 隙間だらけの防御、そんな有り体が『人間嫌いたち』の心理である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より