あるとき、ある役人がそのことをお内儀にたずねられて、「玄関口の階段をよごすためさ」と答えた。おそらく腹だちまぎれの返答だったにちがいないが、お内儀のほうでは、なるほどと思いこんで、それからはばかのひとつ覚えみたいにこの言葉ばかりもちだしてくる。


☆あるとき、先祖の傷痕をもつ死人たちは彼女にたずねられて「一族の遭遇した貪欲さのためさ」と答えた。たぶん不快な思いをし、それからは、これを喜んで言い放つようになったのは明らかだった。