『10×□Ⅳ』

 意味不明な数式であるが、□の中に整数(+)、あるいは負数(-)、あるいはゼロであれば…と考えていくとあらゆる可能性が出てくる。
 それは、《存在・非存在・無》という解釈が一般的かと思われる。

 作品は人の口から何かが出ている(呼吸)ように見えるが、外部からの攻撃(新鮮な空気、潜む細菌)のようにも見える。
 人体に於いて、外部との接触面(穴)は、幾つかあるがもっとも交感度が高いのは口かも知れない。
 人の吐く息は物理的に空気を流動させる、その振動は生命体の持つエネルギー(力)によるものであり、自然(空気)からも同様にエネルギー(酸素)を頂いている。
 つまりは存在の所以である。


(写真は神奈川県立近代美術館(若林奮『飛葉と振動』展・図録より)