
『VALLEYS』横須賀美術館に設置された作品である。
ここを通る時の奇妙な体感。
両脇から圧され何かが滑り落ちてくるような感じと共に、空に突き抜けるような開放感がある。
束縛と解放の奇妙な混沌、持続する道に潜む微妙な違和感(ストレス)が不連続に出没する。
無機的な通路は、世界(仲間)との共存を忘れさせ、孤立無援の孤独な響きを奏でる。一種の恐怖、そして自衛・・・どこまでも一人の認識を呼び覚ます空間である。
ここを通過するときに感じるのは、共有の道でありながら《私的空間》に変移するという奇妙な体感にほかならない。
VALLEYS、まさしく谷底は、守られているが突き落とされたような、孤独であるが開かれているような、つまり矛盾を孕んだ《個》に帰るための覚悟の実験装置である。
(写真は横須賀美術館/若林奮『VALLEYS』より)