『飛葉と振動Ⅱ』

 飛葉という言葉は初耳である。飛揚は高く舞い上がる様を言うが、飛葉は何を指しているのだろう。葉(生命の一端)が飛ぶということは、すなわち死を暗示する。
 AがBへと変移する。

 犬の頭部、身体は板の中に隠れている(沈み込んでいる)。その犬の鼻先に重ねられた層の厚い障壁が立ちはだかっており、それを振動と呼んでいる。確かに空気には音などのエネルギーによる波の発生がある。犬の発するエネルギーが空気を振動させ、それがまた犬の存在であり、方向性を示すものである。

 犬はどこへ向かっているのだろう。生きるとは進むことであり、方向性を持つものであるが、絶対的に避けられない一点は死である。生命のエネルギーは死の方向に向かって発散/消失していくものであれば、超えるべき時空の揺れは抵抗となって立ちはだかる道理ではある。
『飛葉と振動』とは生命体の持つ前(未来)に在る未知の時間と空間かもしれない。


(写真は横須賀美術館『若林奮VALLEYS』より)