『青春の泉』

 鷲の頭部(鷲の嘴の先はもっと鋭く下を向いてはいないか)鳩ではないかという気もする(『大家族』生命の源、平和の象徴…)、どちらにしても鳥が翼を広げた石碑の中に《ROSEAU/葦》という文字が刻まれている。葦は即ち「・・・考える葦である」の葦であることは間違いない。

 その石碑を挟んで、石化された一葉と大きな鈴(言葉・主張)がある。
 一葉は(葉脈は、地下の根である)は不条理そのものであり《虚偽・妄想》、鈴のほうは《真実》をも含む主張(語り継がれた伝説や史実)である。
 その背後には地平線(あるいは水平線)の動かし難い真理が控えている。

 空は異様なほど赤いが、陰を確認すると日没(夕日)の赤さではない。狂気・動乱・混迷を暗示するような躍動の赤である。

 以上の条件をもって『青春の泉』と題している。
 鈴(言語・現実・真実)と一葉(虚偽・妄想)の対峙の中央に〈考える葦/ROSEAU〉が審判官よろしく鎮座している。

 この地上に人類が生息する限りは、嘘と真の混沌・対立は免れない。「考えよ!思考は枯れることなく湧き出でる泉であり、考えることによって、Youth/青春は不壊・不滅である」と。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)