『説明』

 ガラス瓶があり、傍らに人参がある。そしてそれら二つが合体し膨張したものが石のブロックの上に乗っている。背景は時空を特定できない暗色のベタである。

 PenとAppleでPenappleというコントがあったが、それに等しい観念の破壊的暴力である。その差異に鑑賞者は大いに脳に刺激を受ける。
(そうなのか)(いえ、そうではない)(しかし、そうかもしれない)(やっぱり違うのではないか)という逡巡。

 ガラス瓶(無機)と人参(有機)の合体などあり得ない空想のみの現象である。
『説明』は《物理的に不可能なことも精神界では許される》ことの証明であり、精神の自由を静かに裏付けている。
 精神界の自由は心理の襞に入りこみ、イメージの異世界を垣間見せてくれる。閉ざされた真理の扉は、この仕掛けによって鍵を溶解させるのである。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)