『告知』

 奇妙な実在しない風景である。
 大地の上のゴロゴロした岩石は複数寄り添っており、まるで遠い昔の家族の名残りが石化したとでもいうようである。
 唐突に立つ男女を思わせるポールは、どちらが前に立っているのか否かの錯視があり、男女における力関係を同等にしている。
 その背後にある(あるいは並んだ)例の切り紙は、遺伝子(DNA)を暗示している。理由は同じパターンが縦横に連続しており、あたかも延々繋がれていく素因に見えるからである。
 またその背後にある馬の鈴を模したものは、声であり言葉(主張・伝説・流言の流布など)である。つまりは社会的背景と換言してもいいかもしれない。
 それら立地を被うような青々とした木々の緑は、自然であり、生きる糧である。

 変幻の雲の散在(時間の経由)、淡いブルーの空(永遠)の下、一家(一族)の集合写真、自分(マグリット)のルーツ(あるいは先祖の墓標)であると確信する。

(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)