
『与えられたとせよ、⑴落ちる水、⑵照明用ガス』
落ちる水は雨、照明用ガスは太陽光。
この条件のもとに生物(人類)は生息を可能にしており、存在の起源の要である。
作品の正面はレンガがアーチ型に組まれている。弓形にすることで、落下せず出入口を安定に保つ方法は古代からの知恵である。(レンガを焼くことや土を練る水は与えられている)
仕切り板の劣化、重ねた修復は歴史的な時間の経過を暗示し、数多の鋲は進入禁止=見ることを許可しないという強い意志の表明である。
眼の高さにある小さな覗き穴周辺の薄汚れ(油染み)は、禁止=タブーを犯しても見たいという欲求であり、同じように板の亀裂にもその徴候が感じ取れる。
計算された世界の序章は、美しくなく鑑賞者に媚びてもいない。ただ厳然とあるがままの風采を呈している。
(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)