『螺旋のある円盤』

 7枚の不ぞろいの紙製円盤、青色の紙製円盤の上に取り付けされ厚紙のうえに固定したもの。
 それぞれの螺旋を持つ円盤は同心円だから、仮に廻せば、円状の線を持つ平面になり異なる印象の映像を作りだす。
 円には回転させるという連想を常に抱かせる要素があるが、青色の盤を回転させたなら、その中にある7つの不ぞろいな円盤は一つに融合し、想定外の色面を現出させるに違いない。

 円盤の持つ特性である回転によって、静止していた時とは全く異なる視覚を鑑賞者に与えるということは経験上、容易に想像が着く。
 静止状態に存在した色面図は、回転によって消失し(非存在)、回転することで、新しい展開としての色面図の存在を露わにする。
 無かったものが有るという状態に移行する、見えたものを存在と称するならば、この現象も確かに存在と言わなければならない。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)