『3つの停止原基』

 3つである必然性は不確定であるが、この提示そのものが《デュシャン自身》であるとするならば、3つは〈誕生〉〈生〉〈死〉という現象ではないか。それらはまったくの偶然・奇跡の往路であり、復路は決して無い不可逆の線条である.3つの板状の上にある円形の穴は3つに等しく開けられており、一つに括られる暗示だと思う。

 この3つ(停止原基)の物の傍らに置かれた箱は、収納を意味していると思うが、長さはともかく不必要なほどの高さ(深さ)がある。3枚の仕切り版が設置されているが、手あるいは腕を下ろせない幅である。
 収納というより入れたが最後、取り出し不能な箱であり、留め金にも不備がある。つまり完全に閉めることはできず、開閉は自由であるが、取り出し不可能な箱である。
〈誕生〉〈生〉〈死〉まで、ガラス板ゆえ見渡せる構造の箱・・・すなわち、人の一生を収納する《棺》の暗示、プランかもしれない。

『3つの停止原基』は、わたくし(デュシャン)であり、他の誰かの基準になる物ではありません。(原基に非ず)という真意であります。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)