
『泉』
排泄を注ぐべきところ(物)であり、社会の約束(ルールとして)の場である。
『泉』(fountain・噴泉)に対し、吸収である「小便器」を(泉)と名付けている。即ち《循環》を意味づけたこれは、水地球の億年の一刹那の提示である。
他の生物と異なり《恥辱》への目覚めを持った人間という唯一の類の証には、恥部(排泄)を見せる行為は決して他人に見せてはならず、覗くものでもないという禁止条項がある。
法律以前の人としての規律、本能としての隠ぺいは人知の原初にほかならない。
『泉』とタイトルし、作品として衆目の場に提示したデュシャンの《生命の根源への問い》は、暗くて深い深淵へのスポットライトである。
(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)