
《ホームシック》
大きな翼をもった男は橋の向こうを見ている、オレンジにけむる町は霞んで定かではない。
男の背後には百獣の王であるライオンが静かに平和に…佇んでいる。
一見穏やかなムードが漂うメルヘンチックな光景である。しかし、肉食のライオンと人とが脅威を感じずに至近距離に位置していることへの違和感が残る。
《望郷》、自分の本来の居場所を思う切なる気持ち。
今この瞬間の静けさは幻かもしれない。背後のライオンは爪を立てているようにも見える、百獣の王であるライオンは、抑圧・凶暴の支配者の具現ではないか。男の背につけられた翼は、逃げるための用意であり希望である。
静かに見える光景は、実は緊迫した状況であり、危機一髪を孕んでいる。(見えているものは見えていないものを隠している)
(写真は『マグリット』東京美術より)