もう何年も…顔を見ていない。
十年ほど前、日赤でそのお宅を訪問したとき、招かれて、お茶をご馳走になったことがある。
今でいうママ友である。
「ずっと外に出ていないから、近所の人もね、たまに外へ出ると不思議なものを見るような目でみて、挨拶もなしよ」と寂しそうに笑った。
その後、訪問エリアを縮小したことで、そのお宅を訪ねることはなくなってしまった。(どうしているかな)いつも気がかりで、息子さんが自転車で通り過ぎると「お母さんは元気?」と聞いてしまう。
「はい、元気です」という応えが返って来るものの、やはり近所でありながら姿を見ることは皆無。
近所の人に訊ねると「息子さんが家の用をしているみたい、可哀想だわ」という。
こころの病いであるらしい彼女、いっしょに三浦海岸にお花見に行ったこともある・・・。
山菜の食材で作ったお弁当、「わたしの故郷じゃ、山へ取りに行って無料なのに、スーパーでは高値で売られていたわ」と、笑った。
一年のうち、日赤の奉仕の時にしか通らない道。彼女の家の前を通ったとき何か気配を感じた。
家の周りの立木の間、奥に窓があり、そこに彼女の眼差しが・・・。
「ああ・・・、元気だった?」
静かにうなづいた彼女に「わたしなんか、ほら髪の毛白くなっちゃって」と、髪をかき上げたら、少しおかしそうに笑ってくれた。
長いおしゃべりは彼女に負担かと思い「また、きっと会いましょうね。」とだけ言って通り過ぎた。
(お元気な姿が見られてホッとしました。)
わたしたち、まだまだ長生きするかもしれないし、元気でいましょうね。外へ出て元気にお話できる日を信じて待っていますから。