『与えられたとせよ:⑴落ちる水⑵照明用ガス』

 水(液体)は落ちるに決まっているが、蒸気(気体)にも氷(個体)にも変態する。
 照明用ガス、ガスは気体ということだから、地球を照らす気体であれば、太陽に行き着く。地球は太陽との密接な関係から成り立ち存在するものである。
 この条件を踏まえよ、という前提である。

 存在理由・・・水があり、照明(光)によって見えるという機能が働く。草木の生える自然に横たわる裸婦の露わにした性器、人類の礎…DNAは女性でしか辿れないらしいが、明らかに始まりは《そこ》に在り、羞恥という厳守すべき約束によって秘密裏に継続されてきたはずである。

 作品の手前は、出入口は煉瓦の石積みによるアーチのトップがある板戸があり、そこにある小さな覗き穴から覗いた景共々が、作品を成すという構成である。
 覗くという心理は、見てはならない景への強い願望を呼び覚ます。ゆえに本来見ることの叶わない景色を展開させ、焦点の《生存の原初》を露呈させている。

 覗いた景色の裸婦の大股開きは「いやらしいか」見るに堪えない不浄であるか。
 女は火の点いたランプをかざしている、情熱であり生命の証明であり際どくも次世代につなぐリレーの灯である。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)