
『模範例』
山高帽・カバン・傘・コート・・・中流階級の男の一般的な様相である。
特記すべきは、立ちポーズであるのに「座った人物」という意味の文字が明確に記されていることで、これには違和感・ストレスを感じざるを得ない。
背景を見ると(約束のベタ)であり、つまりは著しく隔絶された超未来の暗示がある。
歴史(時間)において、表記を違えることなど、ごく一般的ではないか。
現在では《立っている》と固く信じられ、それ以外の何物でもないと思うようなことが《座っている》に置換されている未来の可能性は十分ある。
例えば友人から聞いた話では「君が代」は天皇を詠ったのではなく、君は一般人、天皇ならば「大君」であり、〈君が〉とは言わず〈大君の〉になるはずだという。
ほかにも例はいくらでもある。現在使用されている「ヤバイ」などもいずれ意味を修正されていくのではないか。
言語・言い回しの互換・誤伝…表記は永遠を貫かない。
そういう『模範例』である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)