『城』2245。これほど間違ったことはない。もちろん、そういうぼくだって、あんたとおなじで、これまでつい彼にまどわされて、彼に希望をかけたり、彼のために幻滅を味わわされたりしました。が、希望も幻滅も、彼の言葉にだけ基づいていたのだから、要するにほとんど根も葉もなかったわけです。☆過ちを犯すはずがない。もちろん、わたしもまた彼にまどわされないようにし、分別のある希望を持ち、それを果たすことで迷いを覚ましました。しかしながら、それら両方とも、彼の言葉によるもので、ほとんど根拠がなかったのです。